Pixomondo閉幕・NetflixがインドにEyeline新拠点——VFX業界に再編の波
House of the Dragon制作で知られるPixomondoが閉鎖を発表する一方、NetflixはハイデラバードにEyeline VFXスタジオを開設し業界再編が加速
1. VFX名門Pixomondoが閉幕——Sony傘下のオスカー受賞スタジオが歴史に幕
ソニー傘下のVFX制作会社Pixomondoが業務を終了することが発表された。進行中のプロジェクト・契約の完了後に正式に閉鎖され、バーチャルプロダクション部門「Clara」も廃止される予定(一部機能はSonyが吸収の可能性あり)。Pixomondoはマーティン・スコセッシ監督作『ヒューゴの不思議な発明』やHBOの『ゲーム・オブ・スローンズ』『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』などを手がけたオスカー・BAFTA受賞スタジオだ。近年のVFX業界では制作費の圧縮・ストリーミング需要の変動・AIツールの台頭により多くのスタジオが経営危機に陥っており、Jellyfish Pictures(2023年閉鎖)に続く大手スタジオの撤退となった。業界全体として労働環境・持続可能なビジネスモデルの模索が急務となっている。
2. NetflixがインドのハイデラバードにEyeline VFXスタジオを開設
Netflixが自社VFXブランド「Eyeline Studios」のインド拠点をハイデラバードに開設した。32,000平方フィートの施設では高度な視覚効果・バーチャルプロダクション・次世代制作技術に重点を置く。俳優のRana Daggubati氏がオープニングに出席し、インド映画産業とNetflixの連携強化を象徴する式典となった。Netflixは2021年にScanline VFXを買収し、昨年10月にEyelineブランドへ統合。今回のハイデラバード拠点はロサンゼルス・バンクーバー・ソウル・ロンドンに続く5拠点目となり、アジア太平洋地域でのVFX生産能力を大幅に強化する狙いだ。
3. ILMが『ジュラシック・ワールド/リバース』で完全CG制作を選択した理由
Industrial Light & Magic(ILM)がガレス・エドワーズ監督作『ジュラシック・ワールド/リバース』のVFXブレイクダウンリールを公開した。冒頭シーン全体が完全CG制作であり、その選択はロケ撮影の不可能性ではなく「監督が必要とする精度のコントロール」のためだったとVFXスーパーバイザーのDavid Vickery氏が解説する。脚本の50ページ超が海上を舞台にしているが、実際に海で撮影されたシーンは10%程度のみ。VFXリールに含まれるショットのうち本物の水が使われたのはわずか7ショットだった。天候・動物管理・ロジスティクスを排除することで得られるクリエイティブの自由度がフル3D制作の最大のメリットとして浮かび上がっている。
4. Jellyfish Pictures出身クリエイターがJFXを設立——Netflixとの2作品で始動
閉鎖されたロンドンのVFXスタジオJellyfish Picturesからのクリエイターたちが、インディースタジオTroubadourと提携して新会社「JFX(Jellyfish FX)」を設立した。JFXはTroubadour Studiosの傘下に置かれ、すでにNetflix向け長編映画2作品のVFX制作を開始。さらに3つのシリーズ作品も受注済みという。業界全体では大手スタジオの閉鎖が相次ぐ中、こうした身軽な新興スタジオがニッチを埋めるパターンが増えており、VFX人材の流動性の高さを示している。
5. バーチャルプロダクションがインディー制作に普及——SXSW 2026で最前線を議論
SXSW 2026では、これまでブロックバスター映画専用と思われていたバーチャルプロダクション技術がインディーフィルムメイカーにも普及しつつある現状が議論された。Dimension Studioの専門家やインディープロデューサーたちが、テック・ビズからLEDボリュームまでのワークフローを小規模予算で活用する手法を共有した。『マンダロリアン』で世界の注目を集めたLEDウォール技術は、現在では数百万ドル規模のプロダクションで使われるほどコスト低下が進んでいる。AIを活用した背景合成・リアルタイムレンダリングとの組み合わせにより、インディー制作のビジュアルクオリティが飛躍的に向上している。