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AIエージェント時代の幕開け:Anthropic・Google・OpenAIが一斉アップデート

Anthropicがロンドンで「Code with Claude」開発者イベントを開催し、ClaudeのManaged AgentsやOpus 4.7など多数の新機能を発表。同週にGoogleもGemini 3.5 FlashやGemini Sparkを発表し、AIエージェント競争が加速している。

1. AnthropicがロンドンでCode with Claudeを開催、Managed Agentsなど大型アップデートを発表

Anthropicは5月19〜20日にロンドンで「Code with Claude」開発者イベントを開催した。これは同社が欧州で初めて開催した大規模な開発者向けカンファレンスで、定員超過の人気を集めた。イベントでは企業顧客、スタートアップ関係者、Claudeのファンが一堂に会し、Research・Claude Platform・Claude Codeの3トラックでセッションが行われた。

主要な発表として、Claude Managed Agentsが強化され「dreaming」機能が導入された。これはClaudeエージェントがタスクに関するメモを自律的に記述し、別のエージェントが同じコードベースを扱う際にそのメモを活用して素早くキャッチアップできるシステムだ。複数タスクにわたるパターンや共通課題を学習する仕組みも含まれている。

また、企業が自社インフラ上でエージェントを動作させるためのサンドボックスと、パブリックインターネットを経由せずに社内システムへアクセスできる「MCPトンネル」が新たに提供された。Claude Codeのリミット引き上げおよびOpus APIのリミット増加も同時に発表された。MIT Technology Reviewなど主要メディアが「AIコーディングの未来を示した」と評している。

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2. Claude Opus 4.7リリース:高解像度ビジョンと長時間コーディングタスクを強化

AnthropicはClaude Opus 4.7を正式リリースした。前バージョンと比較してソフトウェアエンジニアリング能力が大幅に向上し、複雑かつ長時間にわたるコーディングタスクのパフォーマンスが改善された。ビジョン機能も強化され、高解像度の画像を認識・処理できるようになった。

Anthropicの最高経営責任者ダリオ・アモデイ氏は、2026年第1四半期の収益と利用量が年換算ベースで80倍成長したと明らかにした。当初の計画10倍成長を大幅に上回る数字であり、エンタープライズ市場での急速な浸透が背景にある。KPMGとの戦略的アライアンスも発表され、同社の27万6,000人以上の従業員全員がClaudeへのアクセスを得ることになった。

さらに「Claude for Small Business」が提供開始され、QuickBooks・PayPal・HubSpot・Canva・Docusign・Google Workspace・Microsoft 365などのツールと連携したすぐに使えるワークフローが中小企業向けに提供される。

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3. Google I/O 2026:Gemini 3.5 Flash・Gemini Spark・世界モデル「Omni」を発表

Googleは5月19日のGoogle I/O 2026で、AIモデルとエージェントサービスの大規模アップデートを発表した。フラッグシップはGemini 3.5 Flashで、同等の最先端モデルの最大3分の1の価格で提供されながらフロンティアレベルの性能を持つとされ、入力100万トークンあたり1.50ドル、出力9ドルという価格設定が注目を集めた。コンテキストウィンドウは100万トークンに対応している。

汎用AIエージェント「Gemini Spark」も発表された。Geminiアプリ内で連携したアプリをまたいで情報を推論できるエージェントで、まずGoogle AI Ultraサブスクライバーと信頼テスターへのベータ提供から始まる。これはOpenAIのGPT-5.4やAnthropicのClaudeエージェントと直接競合する位置付けだ。

さらに「Omni」という世界モデルが公開された。物理環境をシミュレートするために設計されており、Gemini FlashやGemini App、Google Flow、YouTubeショーツなどで動作し、画像と音声の両方をサポートする。

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4. OpenAI、GPT-5.4を公開——100万トークンコンテキストで自律マルチステップワークフローを実現

OpenAIはGPT-5.4を発表した。100万トークンのコンテキストウィンドウを持ち、ソフトウェア環境をまたいだ複数ステップのワークフローを自律的に実行できる能力を備えている。OSWorld-Vベンチマークで75%のスコアを達成しており、これはコンピュータ操作タスクにおける重要な進歩だ。

並行して、ChatGPT向けのセルフサービス広告プラットフォームが発表され、AIアシスタントの商業化戦略における大きな転換点となっている。OpenAIは2026年に入って7件目の買収となるHiro(個人ファイナンスエージェントチーム)の取得も明らかにし、AIを活用した金融アシスタント領域への本格参入を示した。

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5. Cloudflare、LLM推論インフラを最適化——「Unweight」で重みを最大22%圧縮

Cloudflareは大規模言語モデルをグローバルネットワーク上で動作させるための新インフラを発表した。モデルの入力処理と出力生成を別々に最適化されたシステムに分離し、カスタム推論エンジンでGPUを効率的に管理する仕組みだ。この設計により、LLM推論のレイテンシとコストを大幅に削減できる。

同時に、LLMの重みを精度を損なうことなく15〜22%圧縮する「Unweight」システムも公開された。GPU推論時にロードするデータ量を減らすことで、メモリ帯域幅のボトルネックを解消する。特にエッジ推論やコスト最適化を目指す企業にとって実用性の高い技術として注目されている。

InfoQinfoq.com

6. SubQ:Transformerを超える準二乗スパースアテンション——1200万トークンのネイティブコンテキスト

5月5日に「SubQ(Subquadratic)」モデルが公開された。標準的なTransformerアーキテクチャを採用せず、準二乗(Subquadratic)スパースアテンションを実装した新設計のモデルで、1200万トークンのネイティブコンテキストウィンドウを持つ。スケール時のアテンション速度は最大52倍高速化されるとされており、超長文脈処理が求められる法律文書・コードベース分析・学術研究などへの応用が期待される。

4月の「フロンティアスプリント(GPT-5.5、DeepSeek V4、Kimi K2.6、Opus 4.7)」に続き、5月はアーキテクチャイノベーションが主役となった。Air Street Pressのレポートによれば、米国のOpenAI・Anthropic・Googleが大半のベンチマークでリードを保ちながらも、DeepSeek・Alibaba・ByteDanceなど中国勢が推論・コーディングタスクでの差を急速に縮めているという。

Air Street Presspress.airstreet.com