政治経済

米中首脳会談でリセット、イラン戦争と円安が交錯する世界経済の岐路

トランプ・習近平北京会談が米中関係を部分的に修復する一方、イラン戦争による原油高とトランプ関税インフレが世界経済を圧迫し、日本は強い1Q GDP成長と参院選を前に政治経済の転換点を迎えている。

Executive Summary

  • トランプ大統領が北京でのトランプ・習近平首脳会談(5月15〜17日)を終え、ボーイング200機購入・米中貿易委員会設立など複数の合意を発表したが、高関税の抜本的解決は持ち越し
  • 日本の2026年1〜3月期実質GDP成長率が年率2.1%(前期比0.5%増)と市場予想を上回り、輸出が強く寄与したが、イラン戦争に伴うエネルギー高が先行きの不透明感を増幅
  • 日銀は4月会合で政策金利を0.75%に据え置きながらも2026年度のコアインフレ見通しを2.8%に大幅引き上げ、次回会合での利上げ観測が浮上
  • 米FRBはパウエル前議長退任・ウォーシュ新議長就任の下で利上げ再開を視野に入れ、利下げ観測は2027年まで後退
  • イランとの戦闘でブレント原油が108〜111ドル台へ高騰、トランプは湾岸諸国の要請を受け大規模攻撃を延期し交渉継続中

国内政治・経済

日本の2026年1〜3月期GDP、年率2.1%成長で市場予想を上回る

内閣府が5月19日に発表した2026年1〜3月期の実質GDP速報値は、前期比0.5%増(年率換算2.1%増)となり、市場予測の0.4%増を上回った。前期(2025年10〜12月期)の0.3%増から伸びが加速し、2四半期連続のプラス成長を達成した。

需要側では、輸出が前年同期比11.5%増と大きく伸びたことが全体を押し上げた。とりわけ半導体製造装置の輸出が29.3%増と際立った伸びを見せており、世界的なAI投資拡大を背景とした半導体需要の高まりが日本の製造業に恩恵をもたらしている。外需の寄与度は成長率のうち0.3ポイントに及んだ。

一方、日銀は今回の強い経済統計を受けながらも、イラン戦争に伴うエネルギー価格の上昇がいずれ消費と設備投資を抑制するリスクを指摘しており、2026年度の成長率見通しを1.0%から0.5%へ下方修正した。堅調な1Qデータと慎重な先行き見通しが並存する形となっており、市場では日銀の次の一手に関心が集まっている。

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高市内閣、ガソリン税暫定税率廃止・食料品非課税化を推進

高市早苗首相率いる自公連立内閣は、物価高対策の柱としてガソリン税の暫定税率廃止と食料品への消費税非課税化を2026年度内の実現目標に掲げて国会審議を進めている。2025年の参院選で与党が過半数を割り込んだ主因が物価高への有権者の不満にあったことを踏まえ、今次政権は賃上げを上回る物価上昇への対応を最優先課題に位置づけている。

2026年2月の衆院選で自民党が316議席という戦後最多の超大差勝利を収め、自民・維新連立で衆議院の4分の3を掌握したことにより、こうした大型財政措置の国会通過環境は整っている。食料品の非課税化については維新との連立合意で「2年限定」の時限措置として検討されており、財源確保の詳細設計が焦点となっている。

内閣支持率は報道各社の世論調査で60〜70%台の高水準を維持しており、特に20〜40代での支持が厚い。ただし財政悪化を懸念する声も根強く、国際格付け機関の動向が今後の課題となる可能性がある。

nippon.comnippon.com 日本経済新聞nikkei.com

参院選2026年7月に向け、高市政権の政治戦略が焦点

参議院議員通常選挙(第27回)が2026年7月に予定されており、高市首相にとって政権基盤をさらに強化する好機となる。2025年7月の参院選では野党が躍進して与党が過半数を失ったが、2026年2月の衆院選大勝利によって国会運営の実権は完全に与党側に移っている。

参院選の争点は物価・賃金政策が中心となる見通しで、与党は「物価上昇を上回る賃上げの実現」を旗印に掲げる方針だ。連合の春闘では大手企業を中心に5%超の賃上げ回答が相次いでいるが、中小企業への波及や実質賃金の改善は道半ばであり、有権者の体感とのズレが選挙結果を左右する可能性がある。

高市首相は衆院の再解散も視野に入れながら参院選の戦略を練っているとされるが、イラン戦争によるエネルギー価格高騰が物価対策の難度を引き上げており、政策効果が選挙前に目に見える形で現れるかが焦点となる。

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日本の輸出11.5%増、半導体製造装置が牽引——前向き局面と関税リスクが混在

2026年Q1の日本の輸出は前年同期比11.5%増と堅調に推移し、なかでも半導体製造装置が29.3%の高い伸びを記録した。世界的なAI関連投資の拡大を背景に、アドバンテストや東京エレクトロンなど日本の装置メーカーへの受注が積み上がっており、TSMC・サムスン・インテルなどのファブ拡張投資が追い風となっている。

米中の貿易摩擦が激化する中でも、日本の半導体装置は「スイスのような中立的存在」として米中双方への輸出が一定規模を維持してきた。しかし米国が半導体装置の対中輸出規制を強化する動きも続いており、規制品目の拡大は日本の装置メーカーにとって収益の下振れリスクとなり得る。

輸出全体を支えるもう一つの柱は自動車関連であるが、トランプ政権の自動車関税(25%)の影響で北米向けの採算性は悪化しており、引き続き不透明感が残る。今後は米中の新たな「貿易委員会」を通じた関税交渉の行方が輸出環境を左右することになる。

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国際政治・地政学

トランプ・習近平北京首脳会談——米中関係リセットへ複数の合意

トランプ大統領は5月15日から17日にかけて北京を訪問し、習近平国家主席と3日間の首脳会談を行った。米中が事実上のデカップリング寸前まで追い詰められた2025年の関税戦争を経て、両首脳が「公平・互恵に基づく建設的安定関係」の構築に合意したことは象徴的な意義を持つ。

具体的な合意内容は複数の分野に及ぶ。第一に、中国側がボーイング製旅客機200機を初期購入することに同意した。ただし市場予想を大幅に下回る規模であったため、ボーイング株は会談後に下落した。第二に、中国は2026〜2028年の3年間、毎年少なくとも170億ドル相当の米国農産物(大豆、牛肉、家禽類など)を購入することを約束し、400以上の米国牛肉施設のリスト復活にも応じた。第三に、「米中貿易委員会」と「米中投資委員会」という2つの新たな二国間制度の設立で原則合意し、将来の関税削減を含む経済協議の場が制度化された。

ただし関税の抜本的な引き下げには至っておらず、最高145%に達する対中関税の体系は継続している。ホワイトハウスはレアアース輸出や大豆購入を成果として強調する一方、中国商務省は「関税削減の議論の場」という位置づけを強調しており、双方の認識に温度差がある。米国の対中知的財産保護要求や台湾問題での根本的対立は棚上げされたままだ。

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イラン戦争——ホルムズ海峡封鎖と原油価格急騰の構造

2026年2月28日、米国とイスラエルはイランへの軍事攻撃を開始し、イランも報復措置に転じてホルムズ海峡を実質的に封鎖した。ブレント原油は戦争開始以来55%超急騰し、5月上旬には一時1バレル114ドル台に達した。LNG(液化天然ガス)施設の操業停止も相次ぎ、中東の主要生産国から「湾岸エネルギー輸出が停止する可能性がある」との警告が発せられている。

イランの石油輸出量は日量約200万バレルが市場から消失した推計であり、これに加えてホルムズ海峡を経由する日量約2,000万バレルの輸送が不安定化したことで、世界のエネルギー市場に深刻な供給不安が広がっている。OPEC+は追加増産を協議しているが、サウジアラビアなど湾岸諸国自身も安全保障上のリスクにさらされており、大幅な増産実施の見通しは不透明だ。

エコノミストは一致して、ホルムズ海峡の部分的閉鎖が長期化した場合、主要先進国の景気後退確率が大幅に上昇すると警告している。モルガン・スタンレーやRSMは米国の景気後退確率を20%から30%に引き上げた。日本への影響としては、原油・LNG輸入コストの上昇が製造業と運輸業のコストを押し上げ、すでに2.8%へ引き上げられた日銀のインフレ見通しをさらに上振れさせるリスクがある。

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トランプ、イラン攻撃を延期——湾岸諸国の仲介で交渉継続

トランプ大統領は5月19日、計画していたイランへの大規模攻撃をサウジアラビア、カタール、UAE(アラブ首長国連邦)の要請を受けて延期し、「本格的な交渉が始まっている」と表明した。これを受けてブレント原油は108〜111ドル台まで若干下落したが、海峡の全面開放にはいたっておらず、依然として高水準にある。

湾岸諸国が積極的な仲介役を担っている背景には、自国のエネルギー輸出インフラが被る損失を最小化したいという経済的利益がある。カタールのエネルギー相は「湾岸エネルギー輸出が停止すれば原油150ドル、ガス40ドル/百万BTUに達しかねない」と警告しており、紛争の長期化は産油国にとっても甚大な自傷となる。

市場では交渉の進展次第で原油が急落するシナリオと、交渉決裂で再び110ドル台後半へ跳ね上がるシナリオの両方を警戒しており、ボラティリティが高い状態が続いている。イラン核問題をめぐる根本的な対立が解消されない限り、恒久的な和解は困難という見方が専門家の多数を占める。

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ウクライナ停戦交渉——3日間停戦は成立も和平への道遠く

トランプ大統領の仲介により、ロシアとウクライナは5月9日から11日の3日間の停戦と1,000人規模の捕虜交換に合意した。しかし停戦の実施は双方の「競合する停戦宣言」という混乱に見舞われ、ウクライナのゼレンスキー大統領はロシアから正式通知を受けていないと表明するなど、信頼醸成には至らなかった。

プーチン大統領は5月10日に「ゼレンスキーとのモスクワまたは中立国での直接会談の準備がある」と表明したが、専門家は過去18カ月にわたる「和平間近」という繰り返しの示唆に言及し、楽観は禁物だと指摘する。ロシアはドネツク州の完全割譲なしに停戦に応じる意思はなく、ウクライナは明確な安全保障の担保なしに領土を譲渡する意思はないという根本的対立が続いている。

経済的には、停戦が実現した場合でも欧州向けの天然ガス供給ルートの回復や戦後復興需要が長期的な投資テーマになるが、短期的な停戦合意さえ不安定であることを考えると、市場が本格的なリスクオンに転換するには交渉の具体的進展が必要だ。

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マーケット・金融

日銀、政策金利を0.75%に据え置き——インフレ見通し2.8%に大幅引き上げ

日本銀行は4月会合で短期政策金利を0.75%に据え置くことを賛成6・反対3の多数決で決定した。反対した高田創、田村直樹、中川順子の3委員はいずれも1.0%への利上げを主張した。0.75%という水準は1995年9月以来の高水準であり、日銀は2024年以降に進めてきた段階的な正常化路線を維持している。

今回の会合で注目されたのはインフレ見通しの大幅修正だ。2026年度のコアインフレ率の見通しを1.9%から2.8%へ引き上げたことは、イラン戦争に伴うエネルギー・原材料コストの上昇が予想以上の速度で価格転嫁されていることを示す。ある委員は「次回会合以降でも利上げは十分あり得る」と発言し、別の委員は「上振れリスクが強まれば躊躇なく引き締めを加速する必要がある」と述べた。

市場では次回6月の政策会合での利上げを織り込む動きが強まっており、日本国債10年物利回りが2%を超えて推移している。円安が輸入物価を通じてインフレをさらに押し上げるという悪循環を断ち切る意味でも、日銀の「事実上の円安牽制」という側面が強まっている。

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ドル円158〜159円台、円安基調が継続

ドル円相場は158〜159円台で推移しており、円安基調が持続している。日銀が0.75%で据え置きを続ける一方、米国のFRBは3.50〜3.75%と高い政策金利を維持しているため、日米金利差は依然として大きく、円に対する売り圧力は根強い。

一時は160円台に乗せる場面もあり、財務省・日銀による為替介入への警戒感が高まっている。市場関係者の間では155〜165円のレンジを「現実的なバンド」とみる向きが多く、160円を超えた水準での推移が続いた場合には当局が口頭介入あるいは実弾介入に動く可能性が指摘されている。

円安は輸出企業の収益を押し上げる一方、エネルギーと食料品の輸入コストを増大させ、家計を圧迫している。高市内閣が掲げる「物価上昇を上回る賃上げ」を実現するうえで、円安による輸入インフレは逆風であり、賃上げ効果を相殺しかねない。

日本経済新聞nikkei.com オリコンlife.oricon.co.jp

日経平均、最高値62,833円から60,550円へ反落——銀行高・テック安の色分け

日経平均株価は5月7日に62,833円と過去最高値を更新したのち、5月19日終値では60,550円(前日比0.44%安)まで調整した。TOPIXは逆に0.63%高の3,851と対照的な動きを示しており、指数内でのセクター格差が鮮明だ。

銀行株は大きく上昇した。三菱UFJフィナンシャル・グループが3.8%高、三井住友フィナンシャルグループが3.7%高、みずほフィナンシャルグループが5.5%高と揃って大幅高となった。日銀の利上げ観測が高まる中、預貸金利ざやの拡大期待が銀行株に追い風となっている。

一方でテクノロジー株は軒並み軟調だった。Kioxia(旧東芝メモリ)が3.3%安、フジクラが17%安の急落、ソフトバンクグループが4.2%安となった。ソフトバンクは5月13日の決算発表で純利益5兆円という圧倒的な数字を示した後の利益確定売りとみられる。外部環境としては、イラン戦争と米国の財政・インフレ懸念が引き続き相場の上値を抑えている。

The Japan Timesjapantimes.co.jp

原油ブレント108〜111ドル台——イラン戦争以来55%超の上昇

ブレント原油先物は5月18〜19日に1バレル108〜111ドル台で推移した。イラン戦争が始まった2026年2月下旬からの上昇率は55%超に達する。WTI(米国産標準油種)も90ドル台後半から94ドル台で取引された。

価格上昇の主要因は供給サイドの制約だ。ホルムズ海峡の実質封鎖により、世界の石油取引の約20%が通過するこの要衝での輸送が大幅に制限された。アラブの経済学者の試算によれば、ホルムズ海峡が4分の1閉鎖された場合でも、WTI原油は2026年4〜5月に最大94ドルに達し、その後も80ドル台を維持するとされており、現実の相場はそれを上回る水準だ。

日本は石油輸入量の9割超を中東に依存しており、価格高騰の直撃を受ける。電力・ガス料金への転嫁は時間差を伴うが、年後半にかけて家計の実質可処分所得をさらに圧迫することが見込まれる。政府は電気・ガス料金の補助金延長を引き続き検討しているが、財政負担との兼ね合いが問題となる。

CNBCcnbc.com CEPR VoxEUcepr.org

FRB、パウエル議長退任——ウォーシュ新議長が就任、利上げ再開を視野に

米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長の任期が5月15日に終了し、ケビン・ウォーシュ元FRB理事(上院が5月13日に承認)が第17代FRB議長に就任した。パウエル前議長は引き続きFRB理事としての任期(2028年まで)を全うする意向を示している。

FOMC(連邦公開市場委員会)は4月29日の会合で政策金利を3.50〜3.75%に据え置いた。問題は、据え置きにとどまらず次の行動が「引き上げ」になり得るという市場の認識の変化だ。3月のコアPCE(個人消費支出)デフレーターは前年比3.2%に達し、ヘッドラインPCEは3.5%と、FRBの目標値2%を大きく上回っている。インフレの加速は主に関税とエネルギー価格高騰が原因であり、Fed当局者の一部は利上げ再開の可能性を排除しなくなっている。

バンク・オブ・アメリカ(BofA)は利下げ開始の予測を2027年7月・9月に先送りした。市場の金利先物では年内に利下げが行われない確率が高まっており、利上げの可能性も3分の1程度織り込まれている。ウォーシュ新議長はインフレ抑制に強硬な姿勢で知られており、「インフレが目標を上回る限り、利下げはない」という強いシグナルを市場に送ることが予想される。

Federal Reservefederalreserve.gov CNBCcnbc.com NPRnpr.org

米国コアインフレ3.2%——トランプ関税が消費者に全額転嫁

米国のコアインフレ(PCEデフレーター)は2026年3月に前年比3.2%に達し、2023年以来の最高水準を記録した。ニューヨーク連銀の分析によれば、関税がなかった場合のコアインフレは2.3%程度であり、関税が0.8〜0.9ポイントの押し上げ要因となっている。

連邦準備銀行の調査は、企業が関税コストを消費者に転嫁する傾向を明確に示した。輸入1ドルの追加関税コストに対し、小売業者は概ね7カ月後に1ドル分の値上げを実施しており、関税コストはほぼ100%消費者が負担している構図だ。ムーディーズ・アナリティクスのチーフエコノミスト、マーク・ザンディは「関税が経済に重大なダメージを与えたことはデータで明白だ」と述べた。

2026年のCPI見通しについて、アナリストの間では年末までに4%超に達する可能性を指摘する声も出ている。雇用面では製造業・建設業以外での雇用増が鈍化しており、スタグフレーション型の環境が生じつつある。FRBは景気後退リスクとインフレ抑制の板挟みという困難な状況に直面している。

Fortunefortune.com Fortunefortune.com

米国Q1 GDP年率2.0%——景気後退確率は30%に上昇

米商務省が発表した2026年1〜3月期の実質GDP成長率(速報値)は年率2.0%となり、前四半期(2025年10〜12月期)の0.5%から加速した。設備投資が10%超の伸びを示し、特に知的財産・ソフトウェアへの支出が高かった。一方、個人消費はイラン戦争勃発後のエネルギー価格高騰を受けて伸びが鈍化した。

成長率の数字は健全に見えるが、先行きを懸念する声は大きい。RSMは2026年のGDP成長率予測を2.4%から1.7%に引き下げた。景気後退確率についても、RSMとモルガン・スタンレーはそれぞれ30%(従来20%)に引き上げている。WSJが実施したエコノミスト調査では、今後12カ月以内の景気後退確率の平均が33%となった。

懸念の核心は、関税によるインフレとエネルギー高騰が個人消費を下押しする一方、FRBが利上げ方向に舵を切れば金利負担が企業と家計を圧迫するというシナリオだ。2026年後半にかけて、雇用統計やCPIの動向が景気サイクルの行方を左右する重要なデータポイントとなる。

RSM USrsmus.com Morningstarmorningstar.com


企業・産業

ソフトバンクグループ、AI投資で純利益5兆円——前年比約5倍の記録的業績

ソフトバンクグループは5月13日に2026年3月期(FY2025)の決算を発表し、純利益が5兆円(約320億ドル)と前年の1兆1,500億円から約5倍に拡大したと報告した。アーム(Arm Holdings)やAI関連スタートアップへの投資価値上昇が大きく寄与しており、AIブームを経営の柱に据えた孫正義会長の戦略が利益面で結実した形だ。

決算発表後の一時期には株価が18%超急騰し、日経平均を5月7日に62,833円の過去最高値へ押し上げる一因となった。しかし5月19日の取引では4.2%安と、大幅高後の利益確定売りと市場全体の調整が重なって反落した。オプション市場が示す決算前後の値動き想定は±7.7%であり、その範囲内の動きだったといえる。

ソフトバンクは成長の次の柱として、AI時代の電力インフラを支えるためのギガワット時(GWh)規模のバッテリー事業への参入も5月11日に発表した。非リチウム系電池セルとBESS(バッテリーエネルギー貯蔵システム)の自社生産を目指し、2028年度から本格製造を開始する計画で、年間GWh規模の生産を見込んでいる。

U.S. Newsusnews.com CNBCcnbc.com SoftBanksoftbank.jp

トヨタ自動車、関税とコスト増で3期連続の利益減少見通し

トヨタ自動車は2026年3月期(FY2026)の決算で、関税コストの増大と北米での収益性低下により、業績が市場予想を下回った。FY2027(2027年3月期)の利益ガイダンスも市場の期待を下回る水準にとどまり、3期連続の利益減少が見込まれることが明らかになった。

トランプ政権が課した25%の自動車関税は、米国向け輸出車両だけでなく、メキシコやカナダの工場から輸入される部品・車両にも影響を及ぼしている。トヨタは米国内生産の拡大と部品の現地調達比率向上を加速させているが、サプライチェーンの再構築には数年単位の時間を要する。

一方、ハイブリッド車(HV)の世界販売は堅調で、EVへの急速な移行が鈍化する中でHVへの需要が再評価されている。特に欧州と東南アジアでのHV比率上昇がトヨタにとって強みとなっている。それでも関税・エネルギーコスト・為替の複合的影響は大きく、業績の先行きは不透明な状況が続く。

Toyota Motor Corporationglobal.toyota

日本半導体関連株が急騰——アドバンテスト・東京エレクトロン・ルネサスが大幅高

5月初旬の日経平均過去最高値更新局面において、日本の半導体関連株が主役を担った。アドバンテストと東京エレクトロンはそれぞれ約7〜9%の大幅高となり、ルネサスエレクトロニクスは13%超の急騰を記録した。AI向けの先端半導体テスター・製造装置への需要増が評価され、半導体セクター全体への資金流入が続いている。

背景には、世界的なAIデータセンター投資の拡大がある。エヌビディア(NVIDIA)のGPUを搭載したAIサーバーの増産需要が川上産業に波及しており、日本の半導体装置メーカーは後工程・前工程を問わず受注残が積み上がっている状態だ。アドバンテストのHBM(高帯域幅メモリ)向けテスター需要は引き続き旺盛で、2026年度の受注見通しは据え置きないし上方修正の観測が多い。

ただし、米国政府による対中半導体輸出規制の追加強化が検討されており、中国向け装置・部品の輸出が制限されるリスクは常在する。また、AI投資バブルの過熱感が指摘され始めており、半導体株の高バリュエーションが調整される局面への備えを促す声も出ている。

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中国の4月輸出、前年比14.1%増——米国向けも関税下で回復

中国の4月の輸出は前年同月比14.1%増となり、3月の2.5%増から大幅に加速した。トランプ政権の高関税(最大145%)が続く中でも、中国企業は製品の仕向け先の多様化と迂回輸出の活用によって輸出全体の水準を維持・拡大している。

東南アジア向け輸出は前年比20%増、アフリカ向けは32%増と新興国市場へのシフトが顕著だ。EU向けも21%増と堅調で、中国が対米輸出の減少分を他の市場で埋め合わせる「第三国経由輸出」の動きも各国の税関当局が注目している。4月の対米輸出は前年比11.3%増に回復しており、トランプ・習近平首脳会談を前に双方が姿勢を軟化させた面もある。

輸入は25.3%増と力強く、中国国内の設備投資と原材料需要の堅調さを示した。首脳会談後の米中「貿易委員会」の枠組みを通じた関税削減が実現すれば、輸出がさらに加速する可能性があるが、関税体系の根本的な変更には長期の交渉を要するとの見方が多い。

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