政治経済

トランプ・習会談後の米中関係と円相場、日銀追加利上げ観測が高まる週へ

米中首脳会談が台湾問題の火種を残しつつ終了、ホルムズ原油危機が続く中で日本GDP速報の発表を控え、日銀の追加利上げ観測と158円台のドル円が焦点となる週が始まった。

Executive Summary

  • トランプ米大統領と習近平国家主席の北京首脳会談(5月13〜15日)は台湾問題での警告と農業・航空・AI分野での部分合意を残して終了し、米中関係の構造的緊張は継続している
  • ロシア・ウクライナ間で米国が仲介した3日間停戦(5月9〜11日)は失効し、現在も戦闘が続くが、プーチン大統領は直接対話に前向きな姿勢を示している
  • ホルムズ海峡の事実上の閉鎖(2月28日〜)が続き、ブレント原油は1バレル106〜109ドル台で推移、世界のエネルギーコストと物価を押し上げている
  • 日本では5月19日公表予定の2026年1〜3月期GDP速報(前期比年率+2.9%が予測)と4月CPIが今週最大の注目指標であり、円相場や日銀の次の一手を左右する
  • エヌビディアの時価総額が7日間で20%上昇し6兆ドルに迫るなど、AI関連半導体株が世界的に急騰し、フィラデルフィア半導体指数は3月末比で約70%上昇している

国内政治・経済

高市政権、5月11日に経済財政諮問会議を開催——物価・金融政策を集中討議

高市茂総理大臣は5月11日、2026年第6回目となる経済財政諮問会議を官邸で開催し、マクロ経済運営(金融政策・物価動向を中心とした集中審議)と財政状況の多面的分析をテーマとして議論した。高市政権は「責任ある積極的な財政運営」を掲げており、エネルギー・半導体・AIへの戦略的投資と、危機対応力の強化に向けた財政措置を推進している。2026年度の名目GDP成長率は3.4%、実質賃金上昇率は1.3%が見込まれており、実質賃金のプラス転換としては21年ぶりの1%超えとなる見通しである。中東情勢に起因するエネルギー価格の高騰が物価を押し上げるリスクに対して、政府はガソリン税・軽油引取税の段階的廃止(それぞれ昨年末・今年4月)や電気・ガス料金支援を実施してきた。今後は6月のFOMC議事録公表や日銀追加利上げ観測を踏まえ、需要刺激と財政規律のバランスが焦点となる。

首相官邸japan.kantei.go.jp

日本GDP速報、5月19日公表——前期比年率+2.9%が市場予測

内閣府経済社会総合研究所は5月19日(火)、2026年1〜3月期の四半期別GDP1次速報値を公表する予定である。大和総研など複数の民間シンクタンクの予測では、実質GDPが前期比年率+2.9%(前期比+0.7%)と2四半期連続のプラス成長となる見通しだ。日本経済研究センター(JCER)の試算では、春季賃上げ率が5.15%へ上振れしたことを反映し、消費の底堅さが数字を支えると見られる。ただし、中東情勢に伴うエネルギーコスト上昇がGDP統計にどこまで織り込まれるかは不透明であり、弱い結果となれば日銀の追加利上げ期待が後退して円売りが強まりやすい。逆に強い数字が出て4月CPI(同週公表予定)も強ければ、6月日銀会合での利上げ観測がいっそう高まることになる。市場参加者はGDP・CPI両指標を合わせた「政策ヒント」として注視している。

大和総研dir.co.jp 内閣府経済社会総合研究所esri.cao.go.jp

日銀、政策金利0.75%を据え置き——6月追加利上げ観測が台頭

日本銀行は4月の金融政策決定会合で短期政策金利を0.75%に据え置いた。これは1995年9月以来の高水準であり、昨年来の段階的な利上げの結果である。4月の四半期展望では、2026年度のコアインフレ見通しを1.9%から2.8%へ大幅に上方修正しており、原油価格の高騰がエネルギーコストを通じて物価を押し上げている実態が反映された。一部の政策委員は短期的な追加利上げの余地があると発言しており、野村証券は2026年6月・12月および2027年6月に各0.25%ポイントの利上げを行うシナリオをメインシナリオとしている。日銀の最終的な目標金利については、三井住友DSアセットマネジメントが着地点として「2.0%」を視野に入れると分析する。5月18日の週に公表されるGDP速報と4月CPI次第で、6月会合に向けた市場の利上げ織り込み度が急速に変化する可能性がある。

note(利上げ影響分析)note.com 野村証券ウェルスタイルnomura.co.jp

2026年春闘、賃上げ率5.08%——21年ぶりの実質賃金プラス定着へ

連合が4月14日時点で集計した2026年春季生活闘争の第4回回答集計結果によると、賃上げ率は5.08%と高水準を維持している。従業員数300人未満の中小組合でも4.84%の賃上げ率が達成されており、大企業に限らない広がりを見せている。2026年1月の実質賃金(帰属家賃を除く総合ベース)はプラス0.7%、2月はプラス2.0%と、政府の見通し通りに推移しつつある。名目賃金上昇率は3.2%が2026年度の予測値だが、中東情勢に起因するエネルギー高が輸入物価を押し上げ、実質賃金の上昇余地を削ぐリスクがある。特に中小企業では先行き不透明感から継続的な賃上げに慎重な姿勢を見せる企業も増えており、春闘の成果を持続させるための政策的な支援策が引き続き課題となっている。

日本経済研究センターjcer.or.jp

自民党、衆院選で316議席の歴史的大勝——高市政権が強固な政治基盤を確立

2月8日に投開票された第51回衆議院選挙では、高市自民党が追加公認を含む316議席を獲得し、単独で定数の3分の2を超える歴史的な圧勝を収めた。これは1986年の中曽根政権時(304議席)を上回り、単独政党の最多獲得議席記録を更新した。3分の2以上の議席を確保したことで、参院で法案が否決されても衆院で再可決できる体制が整い、また憲法改正の発議も可能となった。一方で野党は分散しており、中道改革連合が49議席、維新の会36議席、国民民主党28議席にとどまった。この大勝により、高市政権は米日貿易協定の履行、日銀との政策調整、中東対応など複数の重要課題において、より強い政治的意志を持って臨める立場となっている。

nippon.comnippon.com

日米貿易協定の履行進む——日本国際協力銀行が対米投融資を開始

日本政府系金融機関である国際協力銀行(JBIC)は5月1日、2025年7月に締結した日米戦略的貿易・投資協定に基づく5500億ドルの対米投資コミットメントの一環として、第1弾の融資案件を発表した。さらに3月には第2弾となる最大730億ドル規模のプロジェクトも発表済みであり、半導体・重要鉱物・エネルギー・AI・量子コンピューターなどの分野への投資が進んでいる。現行の協定では米国は日本からのほとんどの輸入品に15%の関税を課しており、当初提案の25%からは引き下げられたものの、2024年水準からは大幅な引き上げである。5月19日公表予定のGDP速報には、この協定に絡む投資動向の一部も反映される見込みであり、貿易政策と国内経済指標の連動が注目されている。

Bloombergbloomberg.com The Japan Timesjapantimes.co.jp


国際政治・地政学

トランプ・習近平首脳会談(5月13〜15日)——台湾問題の火種と貿易の部分合意

米国のトランプ大統領は5月13〜15日に北京を国賓訪問し、習近平国家主席と包括的な首脳会談を行った。習近平は台湾問題を「米中関係における最重要課題」と位置づけ、「台湾独立を支持・黙認すれば米中は衝突・対立に向かう」と明確に警告した。トランプは「台湾に関していかなる約束もしていない」としつつ、「現状維持を望む」と述べるにとどまった。経済・通商面では農業(中国の水産物・乳製品と米国の牛肉・鶏肉の関税相互引き下げ)、航空(米国機体・エンジンの対中供給保証と中国の航空機購入)、AI分野での部分合意が成立したと発表されたが、詳細は明らかにされていない。会談終了後、中国外務省は今回の会談を「歴史的」と評価し、習近平の秋の訪米を予告した。米中双方がホルムズ海峡の再開通を支持する点では一致しており、中国がイランへの仲介役を担う可能性についても協議されたとみられている。

CNBCcnbc.com Euronewseuronews.com

ロシア・ウクライナ、米国仲介の3日間停戦が終了——包括的和平への道は依然険しい

トランプ政権が仲介した3日間の停戦(5月9〜11日)は、捕虜1000人ずつの交換を伴う形で発動されたものの、停戦期間終了後も両国は互いに停戦違反を非難し合い、戦闘は継続している。争点は主にウクライナ東部ドネツク州の帰属問題であり、ロシアはウクライナ軍が現在支配している同州の一部からの撤退を要求しているが、ウクライナは自国が実効支配する領土を手放すことを拒否している。プーチン大統領は戦勝記念日(5月9日)後に「ゼレンスキー大統領との直接会談に応じる用意がある」と発言し、戦争の終結が近づいているとも示唆した。ただし、複数の専門家は過去18カ月間に終戦が「間近だ」とされた場面は何度もあったが現実にはならなかったと指摘しており、楽観論には慎重な見方が多い。欧州各国はウクライナへの安全保障上の保証として地上部隊の派遣を検討しており、フランスおよび英国はすでに一定の関与を表明している。

Al Jazeeraaljazeera.com Kyiv Independentkyivindependent.com

ホルムズ海峡危機——世界最大の石油供給途絶が3カ月目に突入

イランは2月28日にホルムズ海峡を商業船舶に対して事実上封鎖し、世界の原油需要の約20%(日量約2000万バレル)の移動が止まった。これは1970年代のオイルショック以来最大のエネルギー供給途絶であり、ブレント原油価格は3月に過去最大月次上昇を記録、4月7日には一時1バレル138ドルに達した。5月18日時点ではブレント原油は106〜109ドル台で推移しており、国際海事機関(IMO)は4月21日時点でペルシャ湾に約2000隻・2万人の船員が足止めされていると報告した。日本は原油輸入の大半を中東・ホルムズ海峡ルートに依存しており、エネルギー安全保障上の脆弱性が改めて露呈している。トランプ大統領は首脳会談の場でも習近平に対してホルムズ海峡の再開通に向けた中国の仲介を要請しており、中国が対イラン外交で役割を果たす可能性を探っている。日本政府は中東情勢を理由に追加の物価対策を検討しているとみられる。

Wikipediaen.wikipedia.org Federal Reserve Bank of Dallasdallasfed.org

米中、貿易・投資協議会の設立で合意——関税相互引き下げを原則的に確認

トランプ・習近平首脳会談(5月13〜15日)の成果として、米中両国は貿易・投資協議会の設立に合意し、関税の相互引き下げを原則的に約束した。中国の2026年第1四半期の実質GDP成長率は5.0%と公式統計では目標水準を維持しているが、小売売上高は2025年12月の前年同期比0.9%増から2026年3月には1.7%増にとどまっており、内需の回復は依然として力強さを欠く。自動車販売は第1四半期に9.1%減少し、消費全体の重しとなっている。関税引き下げは農業・航空分野に限定されており、半導体・先端技術などの戦略物資に関する規制は引き続き維持される見通しだ。米中双方が「合意した内容」について食い違った説明をしており、実質的な取り決めの詳細と実行可能性についての市場の評価は割れている。

South China Morning Postscmp.com Al Jazeeraaljazeera.com


マーケット・金融

ドル円、158円台半ば——今週のGDP・CPIが次の方向性を決める

5月15日時点のドル円相場は158円台半ばで推移しており、157〜160円を中心としたレンジが続いている。5月18日週の最重要イベントは、5月19日公表の日本の2026年1〜3月期GDP速報値と、同週予定の4月全国消費者物価指数(CPI)である。GDPが市場予測(前期比年率+2.9%)を下回れば日銀の利上げ期待が後退して円売りが進み、逆に強い数字と高いCPIが重なれば6月利上げ観測が再燃して円が買い戻される構図となる。5月末には米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合(5月28〜29日)も控えており、米金利の方向感もドル円に影響する。日本の輸入物価はホルムズ危機に伴うエネルギーコスト上昇が引き続き円安圧力となっており、経常収支の悪化が続いている。

外為どっとコム マネ育チャンネルgaitame.com

日経平均、5月15日に1.99%安の61,409円——AI・半導体株主導の急落

5月14日に63,799円の高値をつけた日経平均株価は、5月15日(金)に前日比1.99%安の61,409円まで下落して引けた。主な下落要因は、トランプ・習近平首脳会談において習近平が台湾問題で厳しい警告を発し、投資家心理が慎重化したこととされる。国内では予想を上回る生産者物価指数(PPI)が日銀に追加利上げ圧力を与えるとの見方も売り材料となった。個別株ではキオクシアホールディングス(-8.3%)、フジクラ(-8.4%)、古河電気工業(-4.8%)、アドバンテスト(-7.9%)、ディスコ(-7.3%)が大きく下げた。5月18日(月)以降の方向性は、今週発表のGDP・CPIと中東情勢、米中貿易交渉の続報に左右される見通しだ。

Trading Economicstradingeconomics.com

米国インフレ、4月3.8%——PPIは前年比6%へ急騰、通年4%超も視野

米国の4月消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.8%上昇と、2023年5月以来の高水準を記録した(3月は3.3%)。エネルギーコストが前年比17.9%急騰し(ガソリン+28.4%、燃料油+54.3%)、ホルムズ海峡閉鎖の影響が数字に色濃く表れている。卸売物価指数(PPI)は前年比6%と、4月の4%から急加速し、エコノミスト予測を大幅に上回った。Survey of Professional Forecastersでは第2四半期のCPIが6%に達するとの予測も出ており、複数の予測機関が2026年通年のインフレ率を4%超と見ている。FRBは5月28〜29日の次回FOMC会合で金利据え置きを維持するとみられているが、インフレが6%に達すれば利上げ再開論も浮上しかねない状況で、米国債市場では長期金利の上昇圧力が続いている。

CNBCcnbc.com CNN Businesscnn.com

原油価格、ブレント106〜109ドル台——ホルムズ封鎖の長期化がエネルギー安保を直撃

5月18日時点のブレント原油先物は1バレル106〜109ドル台で推移しており、4月7日の高値138ドルからは下落したものの依然として歴史的な高値圏を維持している。ホルムズ海峡の封鎖が3カ月目に突入し、世界の石油・LNG・肥料(尿素)の流通が深刻な影響を受けている。世界経済フォーラムは石油以外にもLNG・石油化学原料・肥料など9つの主要商品が危機の影響を受けていると指摘した。日本のエネルギー輸入コストは急増しており、電力・ガス料金への転嫁が物価上昇に直結する構造となっている。根本的な解決にはホルムズ海峡の再開通が不可欠であり、トランプ・習会談でも同海峡の開通を優先事項として協議されたが、イランとの具体的な交渉については進展が伝えられていない。

World Economic Forumweforum.org World Bank Blogsblogs.worldbank.org

ECB、政策金利2.0%に据え置き——6月利上げの可能性が高まる

欧州中央銀行(ECB)は4月30日の理事会で、主要リファイナンス金利2.15%・預金ファシリティ金利2.0%を据え置いた。ユーロ圏の実質GDPは2026年第1四半期に前期比0.1%増と微増にとどまり、中東危機に起因するエネルギー価格上昇が消費と企業マインドを圧迫している。ユーロ圏のHICP(調和消費者物価)は3月時点で前年比2.6%と2024年7月以来の高水準を記録した。ECBは2026年通年のインフレ見通しを2.7%と予測しており、利上げへの転換を視野に入れている。市場はすでに2026年中に3回の利上げを完全に織り込んでおり、第1回は6月会合(25bp引き上げで2.25%へ)が有力とみられている。欧州各国はウクライナ支援の軍事費増大と物価対策の財政負担が重なり、財政規律の維持が課題となっている。

European Central Bankecb.europa.eu CNBCcnbc.com


企業・産業

エヌビディア、時価総額6兆ドルに迫る——7日間で株価20%急騰

エヌビディア(NVDA)の株価は5月14日に前日比4.7%高の236.47ドルをつけ、7日間の上昇率が20%に達した。この急騰により時価総額には900億ドル超が上積みされ、6兆ドルの大台に迫った。AI向けデータセンター投資の急拡大が業績期待を押し上げており、主要クラウドプロバイダーによるGPU需要の増加が株価の強力な支援材料となっている。フィラデルフィア半導体株指数は3月末以降で約70%上昇しており、半導体セクター全体が市場をけん引している。ただし5月15日には米中首脳会談での台湾警告を受けて同株が反落し、TSMCのADRも318ドル前後(5月8日終値)と高値圏ながらやや軟化する場面があった。AI計算需要の構造的拡大を背景に中長期的な需給逼迫は続くとみられるが、対中輸出規制の動向次第では供給側のリスクも残る。

Bloomberg Japanbloomberg.com

米国際貿易裁判所、Section 122関税を違法と判断——控訴審で暫定停止中

米国際貿易裁判所(CIT)は5月7日、トランプ大統領が2026年2月20日に発した布告第11012号に基づく10%の「暫定的な輸入付加関税(Section 122関税)」を違法と判断した。裁判所は、Section 122の発動条件(通貨の国際収支上の危機)が満たされておらず、トランプ政権の解釈は議会から委任された権限を大幅に逸脱しているとした。ただし判決の効力は原告3者(Burlap & Barrel、Basic Fun、ワシントン州)のみに限定され、全輸入業者への普遍的な差し止めは認められなかった。5月12日には連邦巡回控訴裁判所(CAFC)が行政上の執行停止を発動し、控訴審の判断が出るまでCITの命令の実施が停止されている。今後の控訴審の結果次第では、2月以降に支払われた関税の還付が広範な輸入業者に認められる可能性があり、対日関税も含めた通商政策の法的安定性に影響を与える重大な判決として注目されている。

Gibson Dunngibsondunn.com Davis Wright Tremainedwt.com

日本の半導体サプライチェーン——エヌビディア・TSMCの製造に不可欠な存在として再評価

エヌビディアやTSMCの製造ラインにおいて、日本の素材・製造装置企業が不可欠な役割を担っていることが改めて注目されている。半導体製造装置や特殊化学品・フォトレジストなどの分野では、日本の大手企業群が高いシェアを持ち、中国が代替供給を確保できない「ボトルネック」となっている。これは日米貿易協定の枠組みにおける日本の交渉力にもなっており、米国が日本の半導体産業を戦略的パートナーとして位置づける背景でもある。TSMCのADR株価は5月8日時点で318.01ドル前後(高値は5月6日の327.43ドル)を推移しており、AI需要の強さを反映して高水準を維持している。対中輸出規制の強化が続く中、日本の半導体関連企業は同盟国への供給拡大と技術優位の維持に戦略的な焦点を当てている。

PRESIDENT Onlinepresident.jp

中国、Q1成長率5.0%を維持——内需低迷と自動車販売急落が懸念材料

中国の2026年第1四半期の実質GDP成長率は5.0%と政府目標水準を維持したと公表されたが、その内容は楽観視できない。小売売上高は2025年12月の前年同期比0.9%増から持ち直しつつも、3月には再び1.7%増に鈍化した。自動車販売は第1四半期に前年比9.1%急減しており、内需の柱である消費の回復が依然として弱い。中東情勢に起因するエネルギー価格上昇がコスト面で企業活動を圧迫しており、輸出は米国向けの関税影響を受けながらも欧州・ASEANへの転換を図っている。今回の米中首脳会談での農業・航空分野の合意が実質的な需要増につながるかどうかは、実施の詳細が明らかになるまで評価が難しい状況である。

U.S.-China Economic and Security Review Commissionuscc.gov