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Google400億ドルAnthropicへ全投資・ペンタゴンAI契約でDeepMind内部が揺れる

Googleがペンタゴンとの機密AIサービス契約を締結しDeepMind研究者が公開批判、一方でAnthropicへの最大400億ドル投資が正式確認され、Claude Codeは8か月でGitHub Copilotを抜いた。

1. Google、Anthropicに最大400億ドル投資を正式確認——まず100億ドル、残額は成果連動

4月24日、GoogleはAIスタートアップAnthropicへ最大400億ドルを投資すると正式に発表した。まず100億ドルを現金で払い込み(評価額3,500億ドル)、残りの300億ドルはAnthropicが一定の性能目標を達成した場合に追加投資される形だ。現金に加えてGoogleクラウドのインフラ提供も含まれており、今後5年間で最大5ギガワットのコンピューティング容量をAnthropicへ供給するという。

この発表はAmazonが同様に最大200億ドルの追加投資を約束した数週間後のことで、Anthropicが二大クラウドプロバイダー双方から巨額のコミットメントを得た形となった。Googleはすでに30億ドル超を投資しAnthropicの約14%株式を保有していたが、今回の増資でその関係はさらに深まる。Anthropicのバリュエーションは昨年の200億ドル未満から3,500億ドルへと大幅に跳ね上がり、競合他社に対する戦略的優位を確保しようとするGoogleの意志が明確に示された。

アナリストはこの投資を「検索とAIアシスタント市場での地位を守るための保険」と評価している。GoogleはGeminiを独自開発しながらも競合Anthropicへ出資するという一見矛盾した二重戦略を継続しており、AI時代の覇権争いは特定企業の一強体制ではなく、資本の網の目で複数の拠点を押さえる複合戦略で争われていることが改めて浮き彫りになった。

TechCrunchtechcrunch.com

2. ペンタゴン、7社とAI機密利用契約を締結——Google・Microsoft・Amazonらが参加

5月1日、米国防総省(ペンタゴン)はGoogle、Microsoft、Amazon、OpenAI、SpaceX、Nvidiaを含む7社のAIシステムを機密軍事環境に展開することを認める契約を締結した。GoogleのGeminiは「合法的な政府目的であれば何にでも使用できる」という従来より広い条項のもとで機密ネットワークに統合される。これはOpenAIの契約よりも許容範囲が広いとされており、AIと軍事の関係が新局面に入ったことを示している。

Anthropicは当初この枠組みから除外されていた。トランプ政権がAnthropicの「AIを戦争に使用する際に安全ガードレールを含めるべき」という主張を理由にブラックリストに追加したためだ。しかし直近でAnthropicが複数の技術的ブレークスルーを発表したことを受けて交渉が再開されたと報じられており、最終的に契約に加わるかどうかが注目されている。

この動きはAI企業の倫理方針と政府・軍需との関係をめぐる根本的な緊張を露わにしている。今回の契約は議会が軍用AIに関する包括的な法整備を停滞させている最中に進んでおり、行政府主導でAI軍事活用のレールが敷かれていく状況に専門家から懸念の声が上がっている。

The Washington Postwashingtonpost.com

3. 「信じられないほど恥ずかしい」——Google DeepMind研究者がペンタゴン契約に公開抗議

Googleのペンタゴンとの契約締結を受け、600人以上のGoogle従業員が連署してCEOのSundar Pichaiに機密軍事用途へのAI提供を禁止するよう要求した。Google DeepMindのシニアリサーチサイエンティストであるAndreas Kirsch氏はSNS上で「会社の決定に信じられないほど恥ずかしさを感じる」と公言し、減速した監視のもとで高度なAIが危険な用途に転用されるリスクについて警告した。

Financial Timesの報道によれば、この契約の進行スピードがDeepMind研究者を驚かせた。研究者たちは、軍がAIをどのように利用するかについて自分たちはもはや十分にコントロールできないと感じており、「我々が作ったシステムが何に使われているか分からない状態になっている」と訴えている。Googleの広報は「我々は自社技術の政府利用を誇りを持ってサポートする」と述べ、従業員の懸念とは真逆のスタンスを示した。

この対立は2018年に起きた「Project Maven」(Googleが国防総省のドローン映像解析に協力した件)以来の大規模な社内反発とみる向きもある。当時はプロジェクト撤退につながったが、今回Googleはより積極的な姿勢を崩していない。AI企業の経営判断と従業員の価値観の乖離が改めてクローズアップされており、「AI倫理」が経営方針にどこまで反映されるかという問いが業界全体に突きつけられている。

Transformer Newstransformernews.ai

4. Claude CodeがGitHub Copilotを抜いて最多利用AIコーディングツールに——Anthropicの収益急増

Anthropicのリポートによれば、Claude Codeはリリースから8か月でGitHub Copilotを抜いて最も利用されるAIコーディングアシスタントになった。Anthropicの収益成長率は、パンデミック期のZoomや2000年代初頭のGoogle、さらにはStandard Oilをも超えるペースで拡大しており、現状の成長率が維持されれば来年初頭には全企業を上回る規模に達するとの試算まで出ている。

製品面でも大型アップデートが続いている。すべてのプランでデフォルト努力レベルが「xhigh」に引き上げられ、また新スラッシュコマンド /ultrareview が追加された。これはコード変更全体を通読してバグや設計上の問題を指摘する専用のレビューセッションを生成するもので、ProおよびMaxユーザーには毎月3回無料で使用できる。Claude CodeはGameMakerのCLIにも統合され、2Dゲームエンジン上でのルーティンタスクを自然言語で処理できるようになった。

一方で市場の競争も激化している。MicrosoftはGitHub CopilotをAPIコール課金の完全従量制へと移行させ、Anthropicは低価格プランからClaude Codeを除外することを検討中と報じられている。AIコーディングツール市場はClaude Code、Cursor、Codexの三つ巴の様相を呈しており、価格競争と機能競争が同時進行している。

Let’s Data Scienceletsdatascience.com

5. Claude Opus 4.7リリース——コーディング+13%・ビジョン強化・サイバー悪用ブロック機能搭載

4月16日にリリースされたClaude Opus 4.7は、Anthropicが「現時点で最も高性能な汎用モデル」と位置づける新世代フラッグシップだ。93タスクのコーディングベンチマークではOpus 4.6比で解決率が13%向上し、Opus 4.6とSonnet 4.6のどちらも解けなかった4タスクをこなせるようになった。ビジョン能力も大幅に強化されており、高解像度画像をより精細に解析できる。

特筆すべきは安全機能の強化だ。Opus 4.7はAnthropicが「Mythos」と呼ぶ未公開フロンティアモデルよりもサイバー攻撃能力を意図的に制限した最初のモデルとなっており、禁止・高リスクのサイバーセキュリティ用途を示すリクエストを自動検出・ブロックするガードレールが組み込まれている。これはAI能力の拡大と安全上のリスク管理の両立を試みた新たなアプローチだ。

価格はOpus 4.6と同じ入力100万トークンあたり5ドル・出力25ドルに据え置かれ、100万トークンのコンテキストウィンドウや最大128Kの出力トークン、アダプティブシンキングをサポートする。Claude.ai製品全体のほかAmazon Bedrock・Google Vertex AI・Microsoft Foundryで利用可能となっており、エンタープライズ向けの本番利用を意識したロールアウトとなっている。

Anthropicanthropic.com

6. ローカルAIコーディングエージェントの台頭——クラウド依存からの脱却が加速

5月2日付のThe Register記事が注目を集めている。開発者がクラウドベースのClaude CodeやCursorに頼らず、自前のハードウェア上でAIコーディングエージェントを動かす手法が急速に広まっているというレポートだ。Ollamaなどのランタイムを使いCodestralやQwen2.5-Coderといったコーディング特化モデルをローカルで稼働させることで、APIコストをゼロに抑えつつプライバシーを守る環境を実現できる。

具体的なセットアップとしては、Continue.devやAider、あるいはClaude Codeの「ローカルモード」を組み合わせることで、IDE統合のコード補完・デバッグ支援・テスト生成などが完全オフラインで動作する。特に機密コードベースを扱う企業や、クラウドサービスへのデータ送信を規制上避ける必要がある組織での採用が増えている。

ただし精度面では依然としてプロプライエタリモデルに差があり、複雑なリファクタリングや大規模コードベースの把握では限界も指摘される。専門家は「ルーティンタスクはローカルで処理し、複雑な問題はAPIへフォールバックするハイブリッド構成が現実解」と提案しており、ローカルとクラウドの使い分けが今後のAI開発ワークフローの標準スタイルになりつつあると見ている。

The Registertheregister.com