映像制作

AutodeskがRadicalを買収—AIモーションキャプチャの技術がDCC直結へ

AutodeskがAIモーションキャプチャ企業Radicalのコア技術を取得し、Cascadeur 2026.1はRoot MotionとUE5ライブリンクで物理アニメーション制作を進化させた。

1. AutodeskがAIモーションキャプチャ企業Radicalのコア技術を買収—7月にサービス終了

Autodeskは2026年4月9日、AIベースのモーションキャプチャ企業RADiCALのコア技術および知的財産を取得したことを発表した。RADiCALは2022年にAutodeskから出資を受けており、今回の買収はその発展形となる。RADiCALが提供していたサービスは「Radical Core」(シングルカメラ動画からFBX形式でモーション抽出)と「Radical Live」(Blender・Maya・Unity・UE5へのリアルタイムストリーミング)の2本柱だったが、既存のウェブポータルは2026年7月6日をもって終了する。ユーザーは同日までに自身のデータをダウンロードする必要がある。Autodeskはこの技術をMaya・3ds MaxなどDCCツールへ統合することで、スタジオ制作パイプラインの中でのAIモーションキャプチャ活用を直接的に推進する狙いがある。特殊なモーションキャプチャスーツやマルチカメラスタジオを必要とせず、スマートフォン映像から3Dモーションを取得できる技術は、インディー開発者・スモールスタジオへの恩恵が大きい。

2. Cascadeur 2026.1リリース—Root Motion AIとUE5ライブリンクで物理アニメーションが進化

Nekkiは2026年4月10日、AIアシスト型アニメーションソフト「Cascadeur」の最新バージョン2026.1をリリースした。最大の新機能はAIベースの「Root Motionシステム」で、キーポーズ間のアニメーションを自動生成しつつ、既存アニメーションをスタイルリファレンスとして指定することでキャラクター固有の動作の質感を継承できる。さらにUE5(Unreal Engine 5.5以降)向けのLive Linkプラグインも有償版ユーザー向けに提供開始され、Cascadeurで作成したアニメーションをリアルタイムでUE5にストリームできるようになった。レンダリングエンジンは2025.3で実験的に導入されたFilamentエンジンが正式統合され、ビューポートのライティング・シェーディング・マテリアル品質が大幅に向上した。4足歩行キャラクターへのAutoPosingの自然度改善、コリジョンペネトレーション修正ツールも追加されており、ゲーム・映像両用途でのアニメーション制作効率が引き上げられている。

3. Rokoko CreateがブラウザベースのAIアニメーション生成ツールを公開—毎月5本FBX無料

モーションキャプチャソリューションで知られるRokokoは2026年4月6日、AI生成アニメーションツール「Rokoko Create」をブラウザ上で一般公開した。テキストプロンプトを入力するだけでフルボディアニメーションを生成し、FBX形式でエクスポートできる。無料プランでは毎月5アニメーションのエクスポートが可能で、ブラウザ上で完結するためUnreal Engine・Unity・Blender・MayaなどあらゆるDCCアプリへの取り込みが容易だ。複雑なキーフレーム作業やモーションキャプチャスタジオへのアクセスが不要になることで、ゲームプロトタイプ・インディーアニメーション・バーチャルプロダクションの初期工程を大幅に効率化できる。同社既存のポーズ検索・ライブラリ機能との統合も視野に入れており、RokokoのモーションデータエコシステムとAI生成の融合という方向性が見え始めている。

4. Chaos、Phoenix流体シミュレーションをEnd-of-Support—3ds MaxとMaya向けに終了告知

ChaosはVFX・映像制作向けに長年提供してきた流体シミュレーションプラグイン「Phoenix」の3ds MaxおよびMaya向けバージョンのサポートを終了すると発表した。本告知は2026年4月9日に行われ、既存ユーザーへの影響は少なくない。Phoenixは火炎・煙・液体・爆発など複雑な流体エフェクトをV-Rayレンダラーと緊密に統合した形で提供しており、特にVisual Effects・VFXスタジオでの利用が多かった。Chaosは引き続きHoudiniなどの専門DCCとの連携やV-Ray本体の開発に注力する方針で、流体シミュレーション機能は同社エコシステム内の他製品へ移行するよう促している。AIによるシミュレーション生成・ニューラルボリューム手法が台頭する中、従来型の手続き的流体シミュレーションの位置づけが変わりつつある業界トレンドも反映した判断と見られる。

5. Fallout Season 2のVFX—Raynault VFXがNew VegasとFreesideを大規模な環境制作で実現

Raynault VFXは、Amazonプライム向けドラマシリーズ「Fallout」第2シーズンにおけるビジュアルエフェクス制作の舞台裏を公開した。同スタジオが担当したのはポストアポカリプスの都市「New Vegas」「Freeside」「Site-X」という主要ロケーションの大規模環境VFXで、荒廃した街の細部まで作り込まれたデジタル拡張が実写撮影と継ぎ目なく融合している。特に難度が高かったのはNew Vegasのネオン照明が照らす夜景シーンで、崩壊した建物の廃墟と機能する一部照明が混在する複雑な状況を再現した。VFXチームはプリビズ段階から実寸大セットとの整合性を確認しながら制作を進め、監督のビジョンを忠実に映像化した。Falloutシリーズはゲーム原作でありながら独自の映像世界観を確立しており、シーズン2でもVFXが物語世界の没入感を大きく支えている。